保育園は、認可園・無認可園、小規模園・保育所など、様々な形態で運営されています。そして、小規模園や保育所であっても、園ごとに園児の受け入れ人数や、職員数が異なります。
様々な状況がある中で、給食職員も園の状況に合わせた給食作りをしています。
保育士は給食を食べるの?
まず大前提として、保育園では園児用の食事を作ることとなっています。よって、基本的には保育士や調理員などの給食を作らなくても良いと解釈できます。
しかし、現実問題「どうせ作るなら大人分も一緒に作ってよ」となることも多く、その場合には喫食する大人から給食費を徴収したうえで、保育士や調理員などにも給食の提供をする決まりとなっています。
では、職員の給食を提供しない園ではどのような方法をとっているのでしょう?
- 個人でお弁当を持ってくる
- 職員分のみ園で取りまとめて弁当業者に委託
など、各自で手配するか弁当を配達してもらうかになるでしょう。
職員が保育園で給食を食べるメリット
- 毎朝、弁当を準備しなくても良いので楽
- 大人と子どもが同じ空間で同じものを食べることで、子どもにとって良い「食育」となる
- 多くの大人が喫食することで、給食の異変に気付きやすい(味やにおいなど)
- 栄養計算ばっちり
- 温かい食事をとることができる
職員が保育園で給食を食べるデメリット
- 万一の時(食中毒など)は、職員が総倒れになる恐れもある
- 給食職員の負担あり(食数が多くなるため)
- 職員の給食代の集計作業や、大人向けの栄養価計算などの負担が増える
- 園児に「先生の好き嫌い」がバレやすい💦
- 食物アレルギーがある場合は対応してもらう必要がある(除去か弁当持ちにさせてもらうかなど)
職員が自らお弁当を持参するメリット
- 食中毒などで職員が総倒れするリスクが少ない
- 自身の体調に合わせた食材や量で準備することができる
- 嫌いな食材を外して持ってくることも可能
- 自身がアレルギー持ちの場合は気を使わなくて良い
- 職員分の給食計算や栄養価計算をする必要がなくなる
職員が自らお弁当を持参するデメリット
- 子どもと別献立となるため、子どもと一緒に食べづらい
- 子どもだけで昼食をとらせる方法をとりがちになる(食育的な観点からあまり好ましくない状況)
- レンジが無い場合は冷めた昼食となることも
- 食事までの保管が大変かも(特に夏場)
保育園の給食提供数と調理員の人数配置
国の基準では、
- 入所児童1~40名→調理員1名
- 入所児童41~150名→調理員2名
- 入所児童151名~→調理員3名
となっています。
しかし、調理員の雇用形態に関してははっきりと明記されてはいなく、上記の人数は「常勤」としか情報がありません。
つまり、「正規職員」であるかもしれませんし、「パート」である可能性もあります。
そして、ここには「職員数」に関しては除外されています。保育園で職員用の給食も提供している場合には、「園児数+職員数」で調理員数の換算をしなくては、調理職員が大変になってしまいます。
例)園児数35 → 調理員1
園児数35+職員10 → 調理員2
という具合です。
上記の人数は、あくまで「国の配置基準」です。
多くの自治体では、その自治体ごとに独自で配置基準を設定しています。もちろんその場合も、国の基準を下回らないように決められていますので、自治体独自配置人数の設定をしている場合は、国の基準と同じか、1~2名多く設定していることが多いです。
保育園給食室運営の実情
規模も食数も、給食室の設備そのものも、それぞれ異なる状況で保育園の給食作りはおこなわれています。私の勤務先もそのうちの1つです。
これまで、いくつかの保育園の状況を聞く機会がありました。例えば、同じ園児数であっても、食器の数が異なる場合もありますし、幼児給食は完全給食の場合もあれば、副食給食である場合もあります。
主菜・副菜がワンプレート給食である場合もあれば、主菜と副菜が異なる食器がきちんと用意されている場合もあります。
その辺りも詳しく書き出してみたいと思います。
勤務先の園
まず初めに、自分の勤務先の園の状況です。
- 喫食数:園児80+職員20
- 乳児、幼児ともに完全給食
- 乳児は給食職員が配膳、幼児は保育士が配膳
- 離乳食対応、アレルギー対応あり
- 主菜、副菜、汁物、主食すべてに食器が用意されている
- おやつは基本手づくり
- 常に常勤2名(うち1名は栄養士)、6時間パート1名で勤務
- 栄養士は系列園の献立作成もしている
- 比較的食育に力を入れている園
- 土曜給食あり
- 夏季・年末年始の保育期間でも給食提供
- 子どもの遠足時でもおやつの提供はあり
使用する食器数もそれなりに多いため、洗浄にも時間はかかります。また、おやつも手作りが基本となっていますので、それなりに時間を費やします。
他自治体のA園
以前勤めていた栄養士さんの前任園です。
- 喫食数:園児70 職員は弁当持参
- 乳児・幼児ともに完全給食
- 離乳食、アレルギー食対応あり
- ランチルームあり(配膳は基本的に給食職員)
- 手づくりおやつ
- 食器は、ワンプレート+お椀の2種
- 土曜保育、夏季・年末年始時はお弁当持参をお願いしている
- 手の空いたときは保育の手伝いもしている
- 正社員2名 常駐してる
- 食育活動も盛ん
常時、栄養士2名でいるとのことで、平日は休むことができなかったとのこと。その代わりに、土曜日に出勤することが無かったので、週休2日はとることができたそうです。しかし、保育士の仕事の手伝いを「しなければならなかった」ため、栄養士としての仕事は、持ち帰り業務になるのが当たり前だったそうです。
息子が通っていたB園
- 喫食数:園児120+職員25~30
- 乳児は完全給食、幼児・職員は副食給食
- 離乳食、アレルギー食対応あり
- ランチルームあり(配膳は給食職員と保育士)
- おやつは市販品と手作りと半々
- 食器はワンプレート+お椀の2種
- 土曜・夏季、年末年始等の保育時にも給食提供あり
- 年間10回程度「弁当の日」がある(給食職員は休み)
- 常時、正社員2名、4時間パート1名
- 食育活動まではあまり手が回っていない模様(年1~2回程度?)
一人の栄養士さんは、長く勤めていましたが、もう一人の正社員の人は頻繁に入れ替わっていました。短時間のパートさんはも長く勤めている方でした。
幼児は、副食給食だったため、年少以降は「白米持参」で保育園に通うことになります。職員に関しても、各自主食を持って通勤していました。白米を入れている容器は自宅から持ち出し、自宅で洗浄するため、給食室に運び込まれることはありません。
食数は多いですが、食器洗浄にかかる時間は短めで済んでいると思われます。
近所にあるC園
実際にC園で働いていた保育士さんから聞いた話です。
- 喫食数:園児60 職員は弁当持参
- 乳幼児ともに完全給食
- 離乳食、アレルギー食対応あり
- おやつは基本的に市販品
- 食器はワンプレート+お椀
- 土曜、夏季・年末年始等希望保育時にも給食提供あり
- 常勤2名
- 食育活動はできる範囲で行っている模様
- 遠足の引率、運動会の手伝いあり
子どもの分のみの給食提供をしており、職員は各自でお弁当持参だったそうです。昼食は子どもとともに食べることは無く、休憩時間内に済ませることが基本だったとか。
ワンプレート給食は、ご飯まで盛り付けられていました。
さいごに
保育園はさまざまな形で運営されているため、園児数が同じくらいであっても一概に同じ仕事量であるとは言い切れません。
経営者にありがちなことですが、「人件費の削減」と言って最低限の人員で運営しようと思うことが多いのですが、安全な運営ができるようにしっかりと考える必要もあると思われます。
「園児数が○○人だから職員は✖人でできるよね」
という考えは、事故のもとになってしまうかもしれません。保育であれば、保育士に余裕がなくなりますし、給食であれば衛生管理がおろそかになってしまわないとも限らないのです。もちろん、過剰な人員配置にする必要もありませんが、給食職員に関しては私の経験上で、園児100+職員25くらいの規模の園で、常勤2人と昼食の洗浄が終了する13時ごろまで勤務してくれるパート職員がいればちょうど良いくらいかなと思います。