保育園でも七草がゆ(風)を毎年作っています。
子どもの嗜好に合わせて、マイナーチェンジをしながらの提供ですので、七草がゆと言っても何種類も作っています。今回は、その中から3種類の七草がゆのご紹介です。
七草がゆとは
人日の節句の朝に食べられている日本の行事食です。一年の無病息災を願って食べます。正月のごちそうやお酒で弱った胃を休めるために食べるとも言われています。
七草がゆで使われる七草とは
七草がゆで使われている七草は、春の七草と言われています。春の七草は、
- セリ
- ナズナ
- ゴギョウ
- はこべら
- ホトケノザ
- スズナ
- スズシロ
です。
セリ(セリ科セリ属)
セリ科の多年草です。春菊や三つ葉に近い香り・味です。
βカロテンがたっぷり含まれているため、動脈硬化や心筋梗塞などの予防になります。免疫力を高める効果も期待できます。
ナズナ(アブラナ科ナズナ属)
アブラナ科の越年草です。あっさりと癖のない味です。ほんの少し辛みも感じます。高血圧の予防・利尿作用・便秘の解消・止血作用・むくみ予防などに効果があります。
ゴギョウまたの名はハハコグサ(キク科ハハコグサ族)
キク科の越年草です。味はほとんどないです。煎じてお茶のように飲んだり、うがいをしたりすると良い効果があります。食べるには繊維質が気になります。
咳止め・喘息・去痰・気管支炎・扁桃腺炎・腎炎など、主にのどに関する病に効果があるようです。私も喘息持ちですので、積極的に食したほうがよさそうですね。
ハコベラまたはハコベ(ナデシコ科ハコベ族)
ナデシコ科の越年草です。青臭さを感じる味です。利尿作用・止血作用・鎮痛作用・歯槽膿漏の予防に効果があります。
ホトケノザ(シソ科オドリコソウ属)
シソ科の一年草です。こちらも、青草さを感じますが、味はほとんどしません。胃腸を整えたり、高血圧予防の効果が期待できます。
スズナいわゆるカブです(アブラナ科アブラナ属)
アブラナ科の越年草です。
食欲増進・咳止めなど、風邪を引いたときにも良い効果を得られます。
スズシロいわゆる大根です(アブラナ科ダイコン属)
アブラナ科の二年草です。
食欲増進・二日酔い・消化不良・頭痛・便秘などにも効果があります。
子どもの嗜好に合わせて変化する七草がゆ
私の勤務先の保育園では、ここ数年の間でも子どもの嗜好に合わせて「七草がゆ風」も変化をしています。例えば、
- 食材のみ子どもでも食べやすいものを使用した「七草がゆ風」
- 出汁しょうゆ味をベースとした
「おじや風七草がゆ」 - ワンスプーンで食べる
「おためし七草がゆ」 - 白米にかけて食べる「七草あん」
など、子どもたちが食べやすいような提供方法を考えています。
子どもたちの中には「軟らかいご飯(おかゆなど)」を食べなれていない子も多く、軟らかいご飯に対して抵抗感を持つ子が多いように感じました。
ここ何年か子どもたちの様子を見ていて感じたのは、
- 乳児(特に0,1歳児)がおかゆを嫌うこと多い
- 幼児クラスは「おかゆ」という食べ物を理解したうえで口にすることができている(割と好きだという子が多い)
ということです。
乳児クラスの子なんて、つい数か月前までおかゆを食べていた子も含まれています(笑)
2020年の七草がゆ
0歳児から5歳児を預かっている保育園での「七草がゆ」は、実際の七草がゆとは全く違います。と、言うのも子どもたちが食べやすい野菜・味付けで提供しているからです。
小さな子どもにはさすがに「七草」は食べることに対しての抵抗があると思いますので、「七草がゆ」とうたってはいますが、実際には「七草がゆ風」といった感じになります。味付けも、塩のみではなくかつおだしとしょうゆを使用して、「雑炊風」に仕上げることで、さらに食べやすくなりました。
用意するもの(約一人分)
- 炊いたご飯 100g
- 大根(葉) 10g
- 大根(根) 20g
- カブ(葉) 10g
- カブ(根) 20g
- 人参 20g
- ほうれん草 10g
- かつおだし汁 150g
- 塩 少々
- しょうゆ 5gくらい
作り方
①かつおだしに塩、しょうゆで味付けをし、大根(根)、にんじんを煮て、時間差でカブ(根)も煮る。
②ほうれん草、大根(葉)、カブ(葉)は下茹でし、冷水で色止めをしておく。
③①にご飯を入れて軽く煮て、②を入れて混ぜて完成です。
子どもの反応
お代わりをせがむ子もいれば、「カブの味がする!」と食材の味を感じてくれている子もいました。
一方乳児クラスでは、「ブロッコリーの味がする!」(入っていませんが💦)と言ってうれしそうに食べる子、緑の野菜が苦手で恐る恐る食べる子、野菜が苦手だけれどもパクリと食べてしまう子など、様々でした。
2022年の七草がゆ風
(きちんとした写真を撮り損ねてしまったため、切り抜きです💦)
この年の七草がゆは、味付けはシンプルに塩のみにしました。使用した野菜も大根・カブ・ほうれん草です。厳密にいうとほうれん草は七草ではありませんが、本当の七草の提供は子どもたちの口には合わないと判断し、毎年代役としてほうれん草を使用しています。
前年との変更点は、ワンスプーンからお椀の1/3くらいの量に増やしたことです。
この日の献立は、
- 五目うどん
- かぼちゃの煮物
- みかん
- 軽めの七草がゆ風
というように、あえておかゆを主食扱いにはしませんでした。
おかゆそのものは強制的に食べさせるものではなく、「日本の行事食に触れる」ことを目的としました。本当は食べてほしいけれど、「無理に」ではなく、食べることができる子は食べる、食べることができない子は「目で見て楽しんでもらう」という目的でお椀での提供にしました。
子どもの反応
全クラスの中で一番良い反応を見せたのは、「普段食の進みが比較的よくない年中クラス」でした。
- おいしい
- 私これすっごく好きなんだ~
- 見てみて!ぼく食べるよ~
- 病気になった時に食べたことあるよ~
など、嬉しそうに教えてくれました。
その他のクラスではおかゆが好きなこと苦手な子で二分され、あっという間に食べ終えてしまった子もいれば、「これ苦手~」と言って手を付けてくれない子もいました。
今年も乳児クラスの小さい子に苦手な子が多く、特に1歳児は多くの子が残してしまっていました。(中にはぺろりと完食の子もいましたが 笑)
ほうれん草の緑色に嫌悪感(笑)を感じてしまっている子もいましたが、おかゆに関しては「軟らかいご飯」に対しての苦手意識の方が強いように感じます。
子どもたちって意外と白米が好きなんですよね(;^_^A不思議です。
2024年の七草がゆ風
給食室で炊飯器を使用しておかゆづくりをしました。炊飯器にはおかゆ用の目盛りが書かれているので、大勢の人数分でも一度に炊き上げることができます。(3升炊きの炊飯器使用)
本来であれば、七草を使用しますが、保育園児には青臭さが強すぎるため、今回は「人参・カブ・ほうれんそう」の3種の野菜を使いました。
味は、薄い塩味。乳児でも幼児でも食べやすいやさしい味付けにしました。
子どもの反応
年長組さんは、お代わりして食べるくらいよく食べてくれており、「おいしい」「もっと食べたい」など、みんな大喜びでした。
しかし、年少クラスでは「おいしいけど、お代わりはいらない」と言われてしまい、さらに下の乳児クラスでも、子どもが率先して食べる様子は見られませんでした。
中には、緑の野菜(ほうれん草)が入っていることに拒否する子もいて、おかゆが嫌というよりは野菜が嫌といった子もいました。
年長児からは「七草ってどれ?」「人参って七草じゃないよね…?」などのご指摘もありました💦
さいごに
良かれと思って「食べやすいおかゆ」の提供をしてしまいましたが、年長児には「本物の七草粥」を作っても良かったかな?と思ってしまいました。(来年以降の反省点です)
また、小さい子はおかゆの食べ自体が良くなく、「七草風あんかけごはん」や「七草うどん」など少しアレンジした献立にしても良さそうです。
来年以降に課題も残る「七草がゆ風」の提供でしたが、また改良してみんなに喜んでもらえる行事食を作りたいと思っています。
食育活動の目的とは?どのような食育をおこなっていくと良いのか?
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