年が明けたかと思ったら、あっという間に3月になります。
そして3月が終わると、今保育園に通っている年長児さんは一つお兄さんお姉さんの学年になり、小学校へと進学していきます。
今の保育園で過ごすことも、あとわずかとなってしまいました。
そこで、卒園前に思い出の一つになることを願って、給食職員で考えた1つの催し「年長児リクエスト献立の日」を作ることにしました。
「リクエスト献立の日」は年長児と献立を考える
2月中に、栄養士とともに年長クラスへお邪魔します。
この日の目的は、「これまで食べてきた給食献立の中で、好きなものを聞き、3月の中のどこか1日の献立を子どもたちと決めること」です。
リクエスト献立を決めるにあたってのルール
もちろん、好きなもの何でも良いというわけではないので、はじめにリクエスト献立を考える上での大まかなルールは、子どもたちに伝えます。
【決めていく献立】
- 主菜
- 副菜
- 汁物
- 主食(パンかごはんか麵かなど)
- 午後のおやつ
丼ものや1品物が候補に挙がった場合は、それを主食兼主菜とする場合もあります。
また、肉・野菜など、なるべくバランスよく選出することも子どもたちに伝えました。
子どもたちに人気の献立
ここ数年に及んで、毎年行われている「リクエスト給食」ですが、子どもたちの好きな食の傾向は、ほぼ同じです。
「みんなが好きな給食の献立をお楽しみ給食の日として出すよ。何が好きか教えてね。」の問いに対しての子どもたちの答えは以下の通りでした。
- カレーライス
- 和風スパゲッティ
- ハンバーグ
- 鮭
- きつねうどん
- 麻婆豆腐
中でも上位3つの「カレー・ハンバーグ・きつねうどん」が子どもたちの中で譲れない献立となり、主菜を決めるうえで最も揉めます。
副菜
- ブロッコリーおかか和え
- ほうれん草のお浸し
- 納豆サラダ
- シラス入り和風サラダ
- ヨーグルトサラダ(りんご入り)
- ひじきの煮物
- 納豆サラダ
しかしながら、おかか和えやお浸し、煮物など和食のものを好む子が多く、「子どもって意外なものを好んで食べるんだね。」と私たち給食職員間で話題となります。
また、「果物の入ったサラダ」も人気というのも意外でした。と、言うのも「野菜の中に甘い果物が入っている」という高度な味覚を要求されるであろう組み合わせにもかかわらず、それを幼いながらに「おいしい」と感じることができていることに感心してしまいました。
汁物
- サラサラコーンスープ(コンソメベースのコーンスープ)
- みそ汁
- お麩のすまし汁
- コーンクリームスープ
- わかめスープ
保育園に通う子は、乳児の頃からが汁物が好きな子が多く、他のおかずは食べなくても、汁物は完食するということも珍しくありません。
過去3年分の園児か選んだ「リクエスト献立」
過去3年分のリクエスト献立がどのようなものだったかご紹介します。
2021年 リクエスト献立
- ハンバーグカレー
- 納豆サラダ
- サラサラコーンスープ
少々脂質が高めな献立になってしまいましたが、「みんなが食べたいもの」が一つになった年に1回の特別献立ですので、今回は栄養士も大目に見てくれます(笑)
主菜
この年の子どもたちに一番人気の主菜は、カレーとハンバーグで二分しました。この2種はほぼ同数であったため、折衷案として「ハンバーグカレー」にしてしまうことに!
そのことを伝えると子どもたちは大喜び!!
「やったー。楽しみだよ~。」「何日にハンバーグカレーを出してくれるの?」と大興奮の子どもたちでした。
副菜はダントツで納豆サラダ
保育園の子どもたちは納豆が大好きです。そして、定番の納豆サラダも大好きです。ほぼ全員の子が大好きな副菜です。
納豆とお好み野菜(キュウリ、キャベツなど)にダイスチーズも使用し、しょうゆ・酢・砂糖を混ぜて作ったタレを和えて作ります。
汁物は意見が分かれたけれど…
汁物は「どんなものでも好き」ということで、いろいろな意見が出ました。けれど、
- カレーに合う洋風なもの
- 子どもたちの多くが好きな食材のもの
と絞っていくうちに「サラサラコーンスープ」に決まりました。
ちょっと驚いたのが「お麩が好き」といった子が数人いたことです。意外とお麩は好き嫌いがわかれる食材なのです。
2022年 リクエスト献立
- ハンバーグカレー
- りんご入りお花畑サラダ
- フルーツポンチ
おやつ・ミニきつねうどん
最後まで、もめにもめた「ハンバーグ・カレー・きつねうどん」はそれぞれ主菜(兼主食)とおやつに盛り込み、春らしい色合いが特徴のお花畑サラダにりんごを足して、「りんご入りお花畑サラダ」、担任の先生からの提案による「フルーツポンチ」を加えてリクエスト献立となりました。
主食
- うどん
- パン
- チキンライス
- オムライス
などの意見が出ましたが、この中から『チキンライス』に決定しました。
ただし、オムライスと言ってくれた子の希望も取り入れ、『炒り卵入りのチキンライス』としました。
(園児の人数分を卵で巻くことは出来かねるので、炒り卵を入れることで許してもらうことにしました 笑)
主菜
- 焼き鮭(子どもの意見にしては渋い 笑)
- レバー(意外ですね)
- カレー
- ハンバーグ
- 麻婆豆腐
- 煮物
などなど、意外と渋いものも候補に挙がりましたが、主食とのバランスと、鉄分強化も踏まえて『ほうれん草入りハンバーグ』にしました。
副菜
- 春雨サラダ
- 切り干し大根
- 白菜のゆかり和え
洋食の組み合わせ…ができそうな副菜の名が上がりませんでしたが、希望している子が多かったことから、『白菜のゆかり和え』に決定しました。
白菜のゆかり和えの作り方
- 白菜・きゅうりを軽くゆで、水気を絞ってボウルに入れる。
- 1に砂糖:酢(1:2)をいれ、ゆかりをお好み量振りかけて混ぜ合わせて出来上がり。
汁物
- みそ汁
- コーンスープ
- わかめスープ(中華風)
- コンソメスープ
子どもたちもいろいろ言ってくれましたが、汁物に関してはかなり票が割れたとのこと。というより、汁物が好きな子が多く、「なんでもいい!!」といった感じでした。ですので、主菜との兼ね合いで『キャベツとベーコンの洋風スープ』とすることにしました。
おやつ
- 果物
- ケーキ
- クッキー
と、かなりざっくりと出てきました(笑)
他にもおやつは、「蒸しパン」「ゼリー」「ふかし芋」などいろいろあるのですが、焼き菓子の人気が高かったです。
この中からは、「季節のもの」「焼き菓子」を組み合わせて、『イチゴのロールケーキ』に決まりました。
2024年 リクエスト給食
- ごはん
- 鶏肉のごまみそ焼き
- わかめときゅうりの酢の物
- すまし汁
- フルーツポンチ
おやつ
- オリジナルハンバーガー
意外と普通の献立となりました。酢の物は、意外と子どもに人気のおかずです。子どもたちのリクエストに一品は必ずランクインします。
通常時には、この組み合わせの給食では「フルーツポンチ」はつかないのですが、子どもたちからのリクエストがあったため、特別感の演出も兼ねて提供しました。
そこで、もう一度食べたい献立の中にもランクインし、今回はおやつとして提供することにしました。
年長児リクエスト献立当日
私たち給食職員はひたすら焦がさないように、失敗しないようにおいしい給食を作りました。
子どもたちもこの日を待ち構えていた様子。当然、当日欠席者はいませんでした(笑)午前中の活動が終わった子どもたち、
「今日の給食楽しみ!!」「お楽しみメニューだよね!!」と給食の準備を行いました。
この日は私も配膳のお手伝いに行きましたので、子どもたちの嬉しそうな顔を直に見ることができました。
子どもたちの反応
- 宇宙一おいしい!!
- 世界一おいしい!!
- うまっ!!
- お給食さんありがとう!!
- 今日の給食うれしい!!
- 給食おいしかったよ、ありがとう!
- 『ゆかり和え』が一番おいしかった(渋いですね)
- 全部ぜ~んぶおいしかったよ
- 全部食べちゃったよ
- 今までおいしい給食をありがとう
- もっとここ(保育園)にいたいな
様々な感想が聞こえてきました。 純粋な感想を聞くことができ、うれしく思いました。
お礼の手紙も
給食が終わって午後の自由時間に子どもたちは私たちに向けて手紙を書いてくれました。
- ありがとう
- ハンバーグカレーおいしかったよ
- おいしい給食ありがとう
子どもたちは思い思いの絵や切り絵、折り紙をともに、ありがとうの言葉を添えて給食室までお礼を伝えに来てくれました。
さいごに
栄養士さんの発案で行うことになった「年長児のリクエスト給食」は無事に喜んでもらえました。
4月からは小学校へ進学する子たちです。保育園の給食の思い出が一つ増えたのではないかと思います。しかし、幼いころの記憶は大人になると薄れてしまうものです。もしかしたら大人になる頃には忘れてしまうかもしれません。
でもこの先、子どもたちが大きくなって何かの時に「これって保育園の時に食べたことがある!!」と思い出すことがあったら、それだけで私たちの仕事の意味があるように思えます。
そんな給食室であり続けたいなと思っています。
保育園では、これから先子どもたちが生きていくうえで「食べることが大好きな子」になるように自園調理をおこなっています。自園調理の良いところは、
- 出来立てを食べることができる
- 生活の中で「香り」を感じることができ、食に対する興味が持てる
- 作っているところを見ることができ、目からの情報も得ることができる
- 作っている人と直接話すことができ、食に対する感謝を伝えることができる
などなど、子どもたちの成長にとって良いことが多いのです。
小学校以降ですとセンターからの配食となってしまうので、保育園のうちにいかに『食に興味がある子に育てていくか』が重要となります。
私たちが作った給食を食べて「多くの食材に興味を持って」「様々な味付けのものを食して」そして何より「食べることが大好き」になってくれたらうれしく思います。
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