昭和生まれの私たちが子どものころとは変わって、今の時代は「食の大切さ」が注目されるようになりました。
未来を担っていく子どもたちの心身の発達に必要不可欠な「食について」正しい知識や適切な判断力を身につけて「今後生きていくうえで困ることのないように」指導することが義務付けられました。
私たちが勤務する保育所でも、食育基本法第3条第20条で
第20条 国及び地方公共団体は、学校、保育所等において魅力ある食育の推進に関する活動を効果的に促進することにより子どもの健全な食生活の実現及び健全な心身の成長が図られるよう、学校、保育所等における食育の推進のための指針の作成に関する支援、食育の指導にふさわしい教職員の設置及び指導的立場にある者の食育の推進において果たすべき役割についての意識の啓発その他の食育に関する指導体制の整備、学校、保育所等又は地域の特色を生かした学校給食等の実施、教育の一環として行われる農場等における実習、食品の調理、食品廃棄物の再生利用等様々な体験活動を通じた子どもの食に関する理解の促進、過度の痩身又は肥満の心身の健康に及ぼす影響等についての知識の啓発その他必要な施策を講ずるものとする。
食育基本法|条文|法令リード より一部抜粋
と明記されています。
しかし一口に「食育」と言っても、様々な活動があります。
今回は、食育活動についてどのようなものがあるのか書いていきたいと思います。
クッキング
保育園でも、保育士に「食育で行いたいことは?」という質問をすると、(特に若い人の)多くは初めにクッキングをあげます。
このページを読んだ方の中でも、食育=クッキングと思った方はいるのではないでしょうか?
食事やおやつ作りから学ぶことのできる「食」についての知識も必要なことですし、大人になるにつれ、調理と縁がなくなることはまず考えられません。
クッキングから学ぶことも多いですし、お友達とわいわい行う楽しさもあります。
ですが、クッキングの活動を行うにはある程度の年齢(先生の話が聞ける・危ない行動をしないなど)が必要になりますし、衛生的な給食提供をする上で気を付ける点もかなり多くなります。
年1~2回くらいでのクッキングであれば、全く問題ありませんが頻回になるとその活動の「ねらい」や「目的」がブレやすくなったりもします。
クッキングも食育活動の一つには違いありませんが、そればかりというわけにはいかない活動でもあるのです。
野菜を育てる
多分2番目に思いつく活動です。
子どもたちに野菜が実る様子を見せて、「野菜」に興味を持ってもらうという「ねらい」があります。
種から育てたり、苗から育てたりと季節に合わせたやり方で行っていきます。子どもたちには、植え付けから日々の水やり・観察まで任せることでどんどん愛着がわいてきます。
ここではあえて「子どもたちが嫌いであろう野菜」をチョイスする場合が多いです。
今年度、勤務先の保育園では2歳児クラスではみんなが嫌がるNo1野菜のナスを育てていました。しかし、いざ収穫できると嬉しそうに給食室まで持ってきてくれ、調理した後ナスを保育室まで持っていくとお代わりまでして食べる子までいたのです。
自分で野菜を育てることは、「野菜」を身近に感じることもでき、愛着が沸いたこともあってなのか、苦手意識が薄まる効果もあるようです。
育てやすい野菜は?
野菜を育てる環境にもよりますが、広い畑があるならば
- サツマイモ
- トマト
- キュウリ
- ジャガイモ
など、種類を選ばずに育てることができますが、
街中などにある保育園で「栽培場所が広く取れない園」では、プランター栽培になるため、あまり大きくなりすぎない野菜のほうが育てやすくなります。例えば、
- ミニトマト
- ピーマン
- ナス
- オクラ
- はつか大根
- ほうれん草
- 人参
などがおすすめです。
下3つの野菜は、収穫してからの片付けも楽ですので、管理が楽になります。
食べ物にまつわる絵本の読み聞かせ
子どもが好きな絵本の中から「食」を教えることもできます。
おそらく、担任の先生によって子どもたちに読み聞かせはしていると思います。
絵本も色々は種類がありますので、その中から「食べ物」に関する絵本を選んで給食前に読むことも一種の食育活動です。
担任の先生に読んでもらうことも良いのですが、たまに栄養士からの読み聞かせがあると子どもたちも「いつもと違う雰囲気」であることから、いつも以上に話を聞いてくれたりもしますし、子どもたちは「いつもと違う大人」にも興味を持ちますので、園児と給食職員(栄養士)が触れ合ういい機会にもなります。
食材に触れる
- 野菜を洗う
- 野菜の皮むき
- 八百屋さんに買い物に行く
- 育てた野菜を収穫する
などなど、様々な方法で野菜に触れることができます。
中でも野菜を洗うことは小さな子でも行うことができますので、おすすめです。
最も大切な食育は「一緒に食事をとる」こと
毎日の生活の中で一番自然な形で一番簡単にできる食育であり、最も大切な食育でもあります。
同じ食卓で同じものを食べ、子どもとの会話を楽しむことで「食事は楽しいもの」ということを教えます。
子どものことを知る
子どもと一緒に食べることでその子の好みや苦手な食材なども知ることができ、その子にあった声掛けをすることもできます。
また作り手は、子どもたちの好みや苦手なものを知ることによって、調理法や味付けを工夫することもできます。
食材の話をする
一緒に食事をとることによって自然と食材の話になることもあります。
- 魚には骨があるから気をつけて食べること(園では骨抜きを使用)
- きぬさややスナップエンドウは丸ごと食べることができるけれど、枝豆は中の豆だけを食べること
など、「食べる」上で気を付けることなども教えてあげることもできます。
食事中の環境を整える
「いただきます」や「ごちそうさま」などの基本的なあいさつや、食事中の姿勢、食事中の環境(テレビはついていないか、おもちゃで遊びながらの食事でないか)なども気にすることができます。
食事に集中できない子は食が細い傾向にあります。
子どもの身体の健康を維持するためにも食事中の環境にも意識を持つことが大切です。
さいごに
皆さんは「食育」と聞いてどのような活動を思い描きましたか?
食育というものは特別に「何かをやる」ということではなく、普段の食事を通して子どもに食に関する知識と、食を選択する力を与えるものなのです。
普段の食事から学ぶものがあった上での、クッキングや野菜栽培なども補助的に行っていくことで「食育」が成立するのです。
「食」は生きていくうえでなくてはならないものです。長い未来がある子どもたちにきちんとした「食」を教えていきたいものですね。
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