- 形成しやすく
- 味もおいしい
索餅を作るべく、試行錯誤をした結果行きついたレシピのご紹介です。
「索餅」ってなに?
まずは索餅について。
索餅(さくべい)とは、唐代の中国から奈良時代に日本に伝わった[1]唐菓子の1つで素麺の祖となったとも言われている食品のこと。
(中略)
七夕の節供では中国の故事に倣って瘧(おこり)病除けを祈願して索餅を食べた[7]。他にも元旦の歯固めの儀、相撲節会などハレの日の祝い事の食品として用いられた。宮中では内膳司で作られて天皇に供せられ、臣下にも給せられた。索餅は平安京の東西市でも売られていた。江戸時代の七夕では索餅に代わってそうめんが供えられるようになった[4]。
Wikipedia-索餅 より一部抜粋
とあるように、索餅とはそうめんの元となった唐菓子であり、七夕に供えられることもあった食品なのです。七夕の行事食と言っても良いお菓子ですね。
また、縄状に形を作ることもこのお菓子の特徴です。
索餅を再現するにあたって気を付けたこと
今回はきちんとしたレシピがないところから索餅づくりにチャレンジしたのですが、私なりにこだわった点はいくつかあります。
材料は索餅が食べられていた当時にあったであろう材料を選択
今回の索餅づくりに使用した材料は5つです。
- 薄力粉
- 米粉
- 砂糖
- 油
- 水
水は古代からあるものですので問題ないとして、「奈良時代の索餅」を再現するにあたって残る4つの材料についてちょっと調べてみることにしました。中国の唐時代、日本の奈良時代にあった食材であれば良しとします。
薄力粉(小麦粉)
およそ1万5千年前から1万年前には小麦はすでに栽培されていたと考えられております。この人類最古とも言われる栽培植物である小麦が小麦粉として食べられるようになったのは約5千年前とされています。
小麦の歴史‐日東富士製粉 より一部抜粋
奈良時代は今からおよそ1300年ほど前となりますので、小麦が食用として食べられるようになった5000年前ははるか過去となりますので、小麦粉はクリアです。
米粉
米穀粉の利用は奈良時代、遣唐使により唐の文物が伝えられ、小麦粉や米粉で型をつくり、油で揚げた煎餅や環餅(まがり)のような唐菓子が伝わったとされています。この唐菓子の移入以降、穀物を加工した日本の菓子が始まり、宗元(中国)へ留学した僧侶の持ち帰った点心より菓子が生まれました。
米粉の歴史 より一部抜粋
ちょうど奈良時代、米粉を使用した洋菓子が唐(中国)から伝わったとされています。抜粋させてもらったページでいう唐菓子と「索餅」が同一のものかどうかははっきりとわかりませんでしたが、時期的には同一のものである可能性が高そうですね。
ということで、時期的なものでは米粉もクリアです。
砂糖
こちらも奈良時代、唐(今の中国)から遣唐使によって伝えられたと考えられています。ということで砂糖もクリアです。
油(サラダ油)
「日清サラダ油」が誕生したのは、1924(大正13)年のことでした。日清製油(現日清オイリオグループ)が、ドイツから最新の精製設備を導入し、大豆特有の青臭さ除去に取り組み、日本で初めて精製度の高い食用油の製造に成功したのが始まりです。
なるほど! 油ウォッチング‐日清オイリオ より一部抜粋
日本で一番最初にサラダ油を作ったのは、当時の日清製油(現・日清オイリオ)だったとのこと。
あれ?サラダ油は大正時代か~。
これじゃあまずいかな…ということで、食用油についても調べてみることに。
油が日本人の食生活に溶け込んだのは、室町時代の後期から安土桃山時代にかけてである。(中略)
油そのものは無論古代からあった。だがそれは主に灯火用として使われたのである。(中略)
この油を食用に転用したのは、中国の影響によるものだった。奈良時代の寺院ではすでに精進料理が普及していたが、野菜ばかりでは脂肪分が不足するので、中国風をまねて、油で揚げた食物を摂取するようになった
日本人と食用油:油料理の歴史 より一部抜粋
ということでした。
サラダ油は奈良時代にはありませんでしたが、食用油はちょうど奈良時代ごろからだったということで、油としてギリギリクリアということにしたいと思います。
今回、索餅づくりに使用する材料は「奈良時代、唐から伝わったであろう材料」でそろえることができました。
索餅を作ってみる
いきなり出来上がりの写真からですが(笑)
今回はこちらの索餅を作っていきたいと思います。
材料(約20~30本分)
- 薄力粉 65g
- 米粉 25g
- 砂糖 15g
- 水 25g
- サラダ油 20g
作り方
- ボウルに薄力粉・米粉・砂糖を入れ、サラダ油を入れて粉類となじませる。(写真では混ぜていませんが、実際には混ぜてください。)
- 1に水を入れてしっかりこねて生地がひとまとまりになるくらいにする。
- 2の生地をめん棒で伸ばし、細長く切っていく。幅は細いほうが形が作りやすいです。1㎝以下の幅で切りましょう。
- 3で作った細長い生地をネジネジします。
- 200℃のオーブンで10分ほど焼いて出来上がりです。
綺麗なネジネジ型のお菓子が仕上がりました。
奈良時代からあったであろう材料のみを使用して作った「索餅」ですが、各材料の配合まではしっかりと知ることができませんでした。
ですので、今回の配合は「現代人がおいしいと感じる配合」です。索餅の完全再現ではありませんが、遠すぎないものであればうれしいです。
索餅実食
- 味は甘すぎず乳幼児のおやつにちょうど良いやさしい味です。
- 米粉を入れたことで優しい甘みを引き出しつつ、さっくりとした軽い歯ごたえもプラスされています。
- 食感を例えるのであれば、赤ちゃん用の歯固めビスケットに近いものです。
- 机の上にあったら食べることが止められなくなってしまう危険がある…かもです(#^^#)
さいごに
索餅づくりの途中、「オーブンで焼く」という工程がありました。
「奈良時代にオーブンなんてないだろ」っていうツッコミもありそうです。現に私自身がどのように加熱をするか悩んだところでした。
今回は「保育園のおやつ」にも使用できるように考えた結果、オーブンで焼いてクッキー状に仕上げました。
しかし、油のことについて触れた項目で奈良時代に唐(中国)で行われていた「油で揚げる調理法をまねていた」と書かれていたことから、索餅のオリジナルは、
縄状に形を作った生地を油で揚げたもの
であろうことが想像できます。
しかしながら先に書いたとおり、「保育園のおやつ」にする予定もありますので、油で揚げるよりは油を練り込んで焼いた方が園児さんたちが食べやすいと判断したのです。
完全再現を目指しましたが、結局調理工程を少しアレンジしてしまいました。
皆さんも自宅で「簡単索餅づくり」に挑戦してみて一味違う七夕を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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