保育園で行われている乳児に向けた食育活動とはどんなものがあるのか?

給食室はこんなところ

2005年から制定された食育基本法によって私たち給食調理員は、「子どもたちに食を教える」ことも仕事の一部として加わりました。

では、実際にはどんな活動をおこなっているのでしょうか。

0歳児

保護者や担任保育士と食事の勧め方を話し合う

直接子どもに対して何かをすると言う事ではありませんが、保育園で給食を提供するにあたり、園児の保護者・担任保育士・給食職員の3者で話し合います。

  • 自宅ではどの様な食材を食べているのか
  • 硬さや形状は?
  • 食べる時環境は?椅子を使用するのか、ひざの上で食べさせるのか?
  • ミルクは一日何回飲むのか、また1回あたりの量は?

食べるものに一番気を使う年齢なのです。

話せなくても「いただきます」「ごちそうさま」の習慣

0歳児のほとんどの子は1語文を話すのがやっとなのです。しかし、私たち大人が話しかけることはある程度理解しているのです。ですので、食事のあいさつは早いうちから習慣づけることが良いと思います。何度かやっているうちに、しぐさをまねるようになり、次第に語尾の言葉をまねして言うようになります。

そして気が付くと当たり前のように「いただきます」「ごちそうさま」が言える子に育つのです。

実際に、保育園の0歳児クラスの子は給食の配膳が始まると、とてもうれしそうな顔をして「まんま」「きた!」「おうおう」など、喜びの声をあげてくれますし、配膳前にもかかわらず、いただきますのしぐさをしてくれる子もいるのです(笑)

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1歳児・2歳児

保育園内では乳児クラスと呼ばれるクラスです。ですが、0歳児と比べるとお話の理解度も格段に上がり、会話も成立してしまいます。本格的なクッキングはまだ難しいですが、単純作業で簡単なことは充分にできる年齢です。

野菜洗い・器具を使わない皮むき

あまり寒く無い季節にタライに水を張って、野菜を洗ってもらうことができます。夏場に水遊びの中に取り入れても良いかもしれません。もちろん洗ってもらった野菜は、再度給食室で洗いなおすのですが…。

それでも、子どもたちは「今日の野菜は自分が洗った!」という達成感から、普段苦手意識のある野菜と向き合えるようになる子もいるのです。

同様なねらいで「皮むき」をおこなったりもします。もちろん調理器具の使用はしません。野菜は、手でむけるものになります。

  • トウモロコシ
  • 玉ねぎ
  • きぬさやの筋取り

などなど…。

むけた皮を使った遊びをも取り入れながら活動を行っていくとさらに楽しいものとなります。

つぶす・混ぜる

本格的なクッキングは難しいにしても、つぶしたり混ぜたりなどの作業はこのくらいの年齢の子でも可能です。

  • 蒸したジャガイモやサツマイモをつぶす
  • ごまをすりつぶす
  • フリーズドライのいちごなどをつぶす
  • パンケーキ生地を混ぜる

様々な「つぶすや混ぜる」がありますが、私たちが気を付けていることは、あくまで集団給食である点です。

いくらきれいに手洗いしたところで子どもたちは様々な菌を持っている可能性があります。そんな子どもたちがクッキングに参加したがために食材が菌だらけになってしまうことも充分に考えられるのです。それを園全体の園児・職員が食べると…。考えただけで怖いことです。

ですので、園児が関与した工程後に必ず加熱されるものに限ってクッキングをおこなってもらうように配慮しています。

上記の例で言いますと、ジャガイモやサツマイモをつぶすという項目があります。つぶしてもらった芋を、ジャガイモもち(揚げ焼き)やスイートポテト(焼く)としては提供できますが、ポテトサラダやサツマイモサラダ(和えるだけ)、マッシュポテト(味付けのみ)としての提供はしません。

必ず加熱殺菌して提供するようにしているのです。

給食室の見学

雨の日など、外に散歩に行けない日など園内を散歩することも。その途中で、給食室の前に立ち寄って給食を作っている様子を見ていくこともあります。もちろん給食室の中には立ち入ることはできませんが、ガラスの窓からのぞき込んでいる様子はとってもかわいらしいです。

普段食べている給食を「作っている様子」を見ることも立派な食育ですね。

 お買い物

2歳児クラスになりますと、給食で使用する食材を八百屋さんやスーパーなどに買い物に行ってもらうこともできます。すべての食材でなくても良いのです。子どもたちにもわかる食材…例えばニンジン・玉ねぎ・ピーマンなどわかりやすい食材で常温で持ち歩けるものであると良いです。

当然保育士も同行しますので、安全に行ってもらうことができます。

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乳児クラスの食育活動のまとめ

0~2歳児に対しての食育活動は、主に「正しい食生活を身につけるため」のものであることが多いです。

まだまだ大人の指示が完全に伝わらない事もある年齢であるので、集団生活の中で本格的なクッキングをおこなうのは難しいのです。

調理器具は案外危険なものが多いです。ちょっとしたことでケガや事故につながりやすいので、あえてこの学年でクッキングは行いません。

それでも野菜洗いや買い物などで、食材を触る機会も作ってあげ、慣れ親しみを持ってもらえるようにしています。

園の規模、園周辺の環境によってできることが異なってきますが、どこの園でも0歳児から食育活動を行っているのです。

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