小規模保育園と通常の保育所との給食室の違いとは?【設備・採用面から考える】

給食室はこんなところ

私は保育園給食室で働き始めて令和3年度で7年目を迎えました。

はじめは小規模保育園(定員18名)での勤務でしたが、同じ系列で90名定員の保育所が開園したのと同時に異動して保育所での勤務をスタートして現在に至るのです。

小規模園でも給食を作っていたことから、「小規模園も保育所も経験」したことになりました。

今回は、小規模保育園の給食室の仕事とそれなりの規模の保育所の給食室の仕事の違いについて書いていきたいと思います。

給食室の広さと設備

小規模園では、「ちょっと広い家庭のキッチン」くらいの広さです。(約6畳前後)

しかし、業務用の冷蔵庫やコンロなどは備わっていました。食器の熱消毒をおこなうための、小型の食器消毒乾燥保管庫(業務用の食器乾燥機みたいなものです)も常備されていました。

しかし、調理そのものは家庭と同じようにおこなうため、フライパン・鍋・レンジ・オーブンなどを駆使して18名の子ども分と職員分を作ります。

小規模園では、特別な器具や機械などはなく、「家庭料理を難なく作ることができるスキル」があれば調理自体は難しいものではありません。(ただし衛生管理だけは注意が必要です。)

対して保育所では、蒸し器とオーブン機能が備わった「スチームコンベクションオーブン」があり、場所によっては回転釜を備えているところもあります。(勤務先では回転釜はありません)

食器消毒乾燥保管庫も小規模園の2倍の大きさのものが2基あります。給食後の食器も一気に消毒乾燥を行うことができますし、2基あることで交互に使うこともできますので、常に稼働させておくこともできます。

保育所では、スチームコンベクションオーブン(スチコン)を使用しての調理が基本になりますので、スチコンの使い方を覚える必要があります。

自宅でオーブンを駆使して調理ができる人であればそれほど難しくもありませんが、業務用ということもあってか、結構細かい設定ができるようになっていますので、機械のクセをつかむまではおっかなびっくり扱うことになるかもしれません💦

蒸気を入れながら焼くこともできますので、蒸気量の設定などもその都度おこなう必要もあります。

給食室の広さは小規模園よりかなり広く作られており、2~3人が一緒に活動していてもお互いが邪魔にならないくらいのゆとりもあります。おおよそ15畳以上はあるように感じます。

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勤務体制

園の規模が違いますので、当然給食職員の働き方も変わってきます。

小規模園では、1日の勤務時間が3~6時間であり、休みの交代も兼ねて1つの園につき2名の給食職員が配置されています。交代勤務が原則であり、片方が出勤の時はもう一人の人はお休みという体制です。時間数も短く、勤務日数も少ないため、雇用形態はパートとなりがちです。

採用の際には「調理師」「栄養士」「管理栄養士」の資格を持っている人を積極採用していますが、「無資格」であっても絶対にダメというわけではありません

しかし、一人勤務で調理をするのでやはり有資格者の方が好まれる傾向にはあります。

保育所では、「栄養士」の正社員が必ずいます。その他には有資格者の常勤フルタイムパートと短時間(3~6時間程度)のパートで構成されています。

常時2~3人での勤務となりますので、小規模園ほどのプレッシャーはないと思います…。栄養士も常駐していますので、困ったことやわからないことがあればすぐに相談もできます。

採用の際には有資格者であることが好まれますが、「短時間のパート」であれば無資格採用もあり得ます。その場合は基本的には「調理補助」という扱いとなり、他の職員の手助けを中心とした仕事となることもあります。

小規模園と保育所ではどのような働き方ができるのか?

同じ保育園の給食職員ですが、保育士と違って働き方が異なってきます。
どのような違いがあるのか?また、どんな人に向いているのかを書いてみたいと思います。

 小規模園ではガッツリ働くことは難しい

経営者によっても考え方がかあってくるところではありますが、多くの小規模園では「給食職員は週2~3日程度の短時間(3~6時間)のパート」であるため、正規職員として働き、生計を立てることは難しくなります。

短時間である理由については、以下のことが考えられます。

  • 食数が少ないため、短時間で仕事が終わる。
  • 小規模園は0~2歳児の乳児で園が運営されていることが多く、特に大きな行事もない。
  • 食育活動も簡単なものが多く、それほど手間がかからない。

小規模園の場合は仕事は事務仕事も行わなければならない反面、子どもたちとのかかわりは相手が乳児でもあることから、保育所ほどのことはしないため、給食職員としての仕事を淡々と行っていく…という印象です。

ですので小規模園での勤務は、

  • 主に平日の日中の数時間
  • 週に3日程度の勤務
  • 家庭料理の腕があればほぼ大丈夫

という理由から、「扶養範囲内で働きたい主婦」がパートとして働きやすい職場となります。

ただし、基本的に一人勤務となりますので急な休みがとりづらく、小さなお子さんを抱えた人にとってはよほどの理解を得られないと、少し働きづらいかもしれません。

お子さんが小学生以上であれば、問題なく働くことができる環境になりますね。

小規模園での勤務は、

  • 扶養内で働きたい人
  • お子さんが小学生以上の人

にとっては働きやすい環境であると思います。

保育所ではガッツリ勤務も可能

保育所では、正社員の採用もしていますので、「ガッツリ稼ぎたい人」でも勤務することはできます。ただし、ガッツリ働くことができるのは「栄養士」と居てもあともう一人くらいです。

そもそも給食職員の採用自体が1つの園につき3~5人という狭き門でもあります。そして、女性が働きやすいと感じる時間帯の仕事でもあるため、欠員自体もそれほど出る職種でもありません。(永く働く人が多い)

しかし、短時間パートとして働く場合は、小規模園と比べると「お子さんが小さい場合でも交代要員がいるため、比較的働きやすい」という違いがあります。
もちろん急な休みは極力とらなくても良いように配慮をする必要はありますが、どうしようもない場合は、早めに連絡を行うことでシフトの調整を行ってもらえる場合もあります。

大きな保育所では、もしもの時のことにも配慮して人員を少し余裕を持たせて採用をしている場合もありますので、同じ給食職員の中でシフトの調整が可能なこともあります。(園によって差がありますが…)

ですので、

  • 正社員としてしっかり働きたい人
  • 扶養内で働きたいけれど子どもがまだ小さい人

などの人は保育所での勤務をお勧めします。

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仕事内容の違い

給食を作って、食器を片付け、おやつの準備、掃除などは共通しておこなう仕事です。

保育所では栄養士が献立の作成、発注、在庫管理、栄養計算をすべて行ってくれますので私たち調理師は基本的には「作る・洗う・片づける」などの単純作業を行っていれば良いのです。(私は食育活動や献立作成の相談にも乗っていたりしますので、厳密には単純作業だけではありませんが。)

しかし、小規模園で働く人は「作る・洗う・片づける」だけというわけにはいかないのです。

献立作成や栄養計算などは本社の栄養士が行ってくれるので良いのですが、食材の発注や在庫管理などは各小規模園の給食職員が行うことになっています。

(園によっては栄養管理も行う場合もあります。)

小規模園には栄養士が常駐していないこともあるので、栄養士が行っている仕事も手分けしておこなっていく必要があるのです。合間に園児に対しての食育活動も行います。

小規模園の給食職員は短い勤務時間と少ない勤務日数ですので、効率よく作業を行うことが求められているのです。

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さいごに

一見同じ保育園のように感じますが、「小規模園」と「保育所」では給食職員の待遇が大きく異なります。これは保育士でも同じです。同じ運営母体であっても、保育所の方が給料が高いことも珍しくありません。

給食職員も、保育所勤務である方が待遇面では良くなります。

その代わりにしっかりとした食育活動や幼児を中心とした職員としての関わり、保護者対応なども求められるようになります。

私は、「もっと稼ぎたい」という不純な動機(笑)から、小規模園 → 保育所 へ異動をしました。

小規模園でのやりがい、保育所でのやりがいそれぞれ感じていますが、私にとって「保育園の給食職員」は天職だったのではないかと感じています(;’∀’)

そして、保育園の給食室で働いているからこそこちらのブログを書くこともできています。

これからも就職を考える方、転職を希望される方、保育園の給食室に興味を持たれている方、みんなに読んでもらえる記事を書いていきたいと思っています。

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