初めての献立も登場した「お月見給食」
お月見給食とはいっても、「旬の味覚をおいしくいただく」というくらいの発想ですので、特別な献立というわけではありません。
秋の味覚に感謝しつつ、根野菜や芋類などを使った食事を食べてもらうことができれば「お月見給食」の意味があるのです。
この年は、8月後半の長雨の影響での野菜高騰が重なり、「秋野菜」というよりは「根野菜」メインの給食となりました。
しかし、みそ汁の中に(団子に見立てた)白玉麩を入れるなどちょっとしたこだわりは忘れませんでした(笑)
そして給食初登場となりましたのは「カボチャのいとこ煮」。
小豆嫌いな子が多い中、ちょっとした冒険ではありましたが給食の献立として加えてみました。
結果的には「ほとんどの子が残さず食べてくれた」一品でした。
カボチャのいとこ煮
小さい子どもが食べるということもあって、保育園給食では食材の固さや大きさに気を使っています。
「白玉団子」はのどに詰まりやすく、「安全」とは言い難い食材ではありますが、「食の経験」「行事食を知る」という観点からも白玉団子の提供を行っています。(0歳・1歳には提供していません。)
材料(約4人分)
- カボチャ(皮つき) 200ℊ
- かつおだし汁 100ℊ
- しょうゆ 8ℊ
- 砂糖 8ℊ
- 茹で小豆(缶でも可) 40ℊ
作り方
- カボチャは所々皮をとっておき、食べやすい大きさに切る。
- 鍋にかつおだしにしょうゆ・砂糖を加えしっかり煮溶かし、約20ℊほど別に取り分けておく。
- 2の鍋にカボチャを入れて弱火から中火でゆっくりと軟らかくなるまで煮る。
- 別の鍋に茹で小豆を入れて2で分けただし汁を加え、弱火にかけながら混ぜ合わせる。この時、小豆の固さはお好みで良いのですが、ドロッと感が好きな方は水溶き片栗粉(分量外)を入れて調整します。
(因みに私は水溶き片栗粉で固さ調整をしました。) - 3が煮えたらそのまましばらく煮汁に浸して、味をなじませておく。
- 冷めた5に4のあんをかけて完成です。
ですが、カボチャも小豆も同じだし汁を使用して煮ましたので、お互いが喧嘩しない味付けにできたと思っています。
みたらし白玉団子(お月見団子)
おやつは恒例の「白玉団子」。タレは人気のみたらしダレです。つやっつやのタレです(笑)
団子と言えばまん丸ですが、保育園での提供ですので誤嚥防止のため、あえてへそ餅型にしてあります。
そしてこの団子にはもう2つ秘密がありますが、それは後述。
材料(約30個分)
白玉団子
- 白玉粉 150ℊ
- 上新粉 100ℊ
- 絹ごし豆腐 350ℊ
みたらしダレ
- しょうゆ 15ℊ
- 砂糖 35ℊ
- 水 45ℊ
- 片栗粉 4ℊ
作り方
- みたらしダレの調味料は全て一つの鍋の中で計量して入れておく。
- 大きめのボウルに白玉粉を入れ、軽く崩しておく。
- 2に絹ごし豆腐を300ℊほど入れて白玉粉となじませる。
- 3に上新粉を入れしっかしこねながら残りの豆腐を足しながらひとまとまりにする。(この時、粉の状態によっては豆腐が多い場合、少ない場合もありますので、加減しながら生地を作ってください。)
- 団子を茹でるお湯を、大きめの鍋に準備します。
- 4の生地が耳たぶくらいの固さになったら、30個に分けて丸めて茹でます。
茹であげるタイミングは、沈んだ団子が浮かんできてから1~2分ほどしてからです。浮かんできて1~2分してから水にとります。 - 茹でている間に可能であれば、みたらしダレを仕上げます。
1で準備したタレの鍋を弱火にかけて混ぜながら火を通します。
すでに片栗粉も入っていますので、混ぜながらでないと焦げ付いたり、ダマがまだらになってしまったりしますので気を付けてください。
団子を茹でながら…が難しい人は無理をせず団子を茹で終わった後に仕上げても OKです。 - みたらしダレにとろみがついて透明感が出てきたら、茹で上がった団子にかけて完成です。
保育園の白玉団子の秘密
「白玉団子」はのどに詰まりやすく、「安全」とは言い難い食材ではありますが、「食の経験」「行事食を知る」という観点からも白玉団子の提供を行っています。(0歳・1歳には提供していません。)
そこで勤務先の保育園では、白玉団子の固さを軟らかく保つために「豆腐を使用」し、白玉特有の粘りっけを軽減させるために「上新粉」を加えています。この2つの材料を加えることで、「軟らかく歯切れのよい団子」を作ることができるのです。
そして先にも書きましたが、形にも気を使っています。
万一団子がのどに引っかかってしまっても気道がふさがりきらないように、「まん丸」という形にすることは避け、丸をつぶした形である「へそ餅型」で統一しています。
「満月さつまいも」と「うさぎのカレーライス」
- うさぎのお月見カレー
- マカロニサラダ
- みかん
うさぎのお月見カレー
ご飯をうさぎに見立て、サツマイモの輪切りを満月に見立てたカレーです。うさぎの耳は斜め切りしたインゲン、目はケチャップで描きました。
大量調理ならではの工夫
盛り付けるだけでなく、少し手を加えてキャラクターや動物型を作る時には、私たち給食調理員は事前準備も必要になります。
- うさぎ型になるごはんはどのように形作るか?
- うさぎと共に盛り付けるカレーはどのように作るか?
- うさぎご飯が乾燥しないように保温する方法
- 盛り付け時の給食職員のフォーメーション
などなど、事前に決めておかなければなりません。
うさぎご飯の形を作る際に配慮すること
子どもの年齢ごとに異なる量のご飯を提供していますが、計量・形づくりはすべて手作業で行います。ですので、
- ご飯の計量する人
- 形づくりをする人
- うさぎの耳をつけてラップをする人(保湿)
に分かれて、流れ作業でおこないました。
もちろん、うさぎご飯だけに時間を費やすことは出来ませんので、カレーやサラダ、みかんの盛り付けなどを先に終わらせておく必要もありました。
給食は出来上がったそばから影響できることが一番良いのですが、現実問題、保育活動との兼ね合いもあるため、提供と喫食のタイミングが合うことはほとんどありません。
しかし提供時間が遅れてしまうことは許されませんので、私たちができる対策は「ある程度早めに作っておくこと」になるのです。
特にキャラクター給食の場合には、盛り付け時間が通常よりもかかってしまうので、工夫が必要となります。
今回は、
- 提供順に「うさぎご飯+耳」を盛り付ける。
その後、ラップをして保温庫に入れておく。 - 提供時間間際にカレーを盛り、満月サツマイモをのせる。
- うさぎの目は保育室で担任に描いてもらう。
という方法で順番に作っていきました。
2の行程はあえて提供前におこないます。カレーを盛り付けてからラップをすると、ラップにカレーがついてしまい、そのカレーがうさぎについてしまう恐れがあることから、きれいな状態で提供するために提供直前におこないました。
うさぎの目は子どもの前で保育士に描いてもらうことで子どももうさぎの出来上がりを目の前で見ることができます。…というのは建前で、実は私たちのひと手間を省きたかったから…というのが本音です(笑)
カレーを盛り付ける際の工夫も必要
具材を大きくしないように作ることで、盛り付け時にうさぎ側にカレーがかかってしまうことをある程度防ぐことができます。
今回のカレー具材は、
- みじん切り玉ねぎ
- ひき肉
- 大豆水煮
- さいころ人参
であり、すべての材料が小ぶりに収まりました。
盛り付け時には具材が転がることもありませんでしたし、最後に満月サツマイモを飾る時も具材のごつごつ感がなかったため、飾りつけしやすかったです。
今回のお月見カレーも約100名分を3人で仕上げました。ただ、一部の満月サツマイモがうさぎのお尻部分にあったため、子どもたちに「これはしっぽ??」と聞かれてしまったことだけが…ちょっとばかり残念でした(笑)
お月見の食べ物豆知識
お月見の食べ物といえばまず思いつくのはやっぱりお団子ですね。お月見のお団子をお供えするときには、並べ方があることは知っていますか?
三方と呼ばれる台の上に白い紙を敷き、お団子を並べます。団子の数は十五夜にちなんで15個です。
月見団子の並べ方
園で作った団子の飾りをもとに説明します。
ちょっと丸がいびつですが…そこはさておいて、
- 1段目は(赤点)3×3 の9個
- 2段目は(青点)2×2 の4個
- 3段目は(オレンジ点)2個
これで15個です。
15というのは、十五夜にちなんだ数字となっており、基本的にはお月見団子はこの形でお供えします。
秋の味覚の根野菜代表サツマイモ
団子の次に思い浮かぶものといえば、根野菜ではないでしょうか?
中秋の名月の別の名は「芋名月」と呼ばれています。
ここで指す芋とは、旬であるサツマイモや里芋になるのですが、そもそもお月見は作物の収穫を感謝し、以降の豊作祈願の意味があります。芋と言われていますが、秋の実りであれば何でも良いのです。
- 柿
- 栗
- 梨
- リンゴ
- ぶどう
などなどをお供えしても良いですね。
保育園のサツマイモごはん
サツマイモは万能です。 主菜から、副菜・汁物・おやつまではば広く使用できます。
時には、ご飯と一緒に炊き込んで「サツマイモご飯」にして主食として食べることもあります。
主菜 → 煮物
副菜 → サラダ・大学芋風
主食 → サツマイモごはん
汁物 → 味噌汁
おやつ → ふかし芋、マフィンやスイートポテト、スコーンなど
中でもサツマイモごはんはとても簡単です。
サツマイモごはんの作り方
- サツマイモをさいの目切りにする。
- といだお米に塩を入れ、サツマイモと共に一緒に炊く。
以上です(笑)
お好みで黒ゴマを入れても良いですね。
炊飯器でじっくりと炊くことにより、サツマイモの甘みが引き出されます。
さいごに
普段、幼児クラスの給食は食缶で提供しているため、給食室で盛り付ける給食は乳児クラスのもののみです。しかし、行事食は全園児分の給食の盛り付けを給食室内で行います。しかも盛り付けにこだわったものでもあるので、正確さとスピーディーさが求められています。
行事食は神経を使いますが、きれいに盛り付けることができたときの達成感はかなりのものです。
↑給食室用に圧巻な記録写真を撮ることができるのも私たちの特権です(#^^#)
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