10月から11月にかけて、小学校では現年長児を対象に『就学時検診』を行うとことが多くなると思います。保育園内でも、年長クラスではソワソワする頃です。
給食職員は関係ないのでは??と思われるかもしれませんが、全く無関係というわけでもありません。
小学校に入学すると、ほとんどの学校で小学校の給食を食べることになります。保育園の栄養士さんとは違う栄養士さんの立てた献立の給食(学童用の給食)を食べて生活することになります。
新しい環境になっても子どもたちが食に対して困ることのないように考えていくことが私たちの仕事なのです。
食の経験は3歳までになるべく多くの種類を
『3歳までの食経験は、その人の一生の味覚を左右する』と聞いたことはありませんか?
3歳ごろまでに多くの食材や、味付け(酸味・苦み含む)の経験させることがとても大切なのです。
子どもの好む味
生後間もなく口にする母乳にも含まれる味であるため、子どもは以下の味付けに対しての抵抗感はありません。
甘味
甘味は、酸味や苦みを和らげます。
エネルギーの供給源である甘味成分は、体内で素早く吸収されるため、脳や身体を素早くリフレッシュさせてくれます。
ただし、摂りすぎると疲れやすくなってしまったり、虫歯・糖尿病・肥満などの悪影響も…。
塩味
身体の塩分バランスを整える味です。塩が足りなくなると、食欲がなくなってきたり、やる気が無くなったりします。
体内の水分量や濃度を一定に保ち、血圧を安定させ身体を守ってくれる味です。
ですが、摂りすぎには注意です。
- 塩味に対する慣れは、早いうちから出来上がり、その慣れは一生続きます
- 離乳期からの食習慣でどんどんエスカレートしていく味です
- 塩味の摂り過ぎは高血圧・動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞の引き金になります
旨味
だしの味です。グルタミン酸・イノシン酸といったたんぱくの一種です。
昆布(グルタミン酸)・かつお節、煮干し(イノシン酸)・貝類(コハク酸)などがあります。
市販の顆粒だしは、化学調味料や塩分がかなり含まれていますので、便利なのですが、旨味としての使用には注意が必要です。
子どもが嫌う味
食べ物に対する警告のシグナルの味です。(本能的に食べてはいけないと思う味です)
酸味
幼児期に味覚のトレーニングをしないとなじめない味です。
酸味は、甘みと一緒にすることで甘酸っぱくなり、子どもでも食べやすくなります。
鶏肉のトマト煮にする(トマトの酸味)
甘酢和えを作る などです
苦味
毒のシグナルです。これも本能的に食べてはいけないと思う味なのです。
幼児期からのトレーニングと経験の積み重ねで好んでいく味になります。
子どもの好きな食材
いも類・果物類・豆類など、比較的柔らかく甘みのある食材です。
子どもの嫌いな食べ物
葉物野菜・海藻類・セロリ・ゴーヤ・ピーマンなど、ペラペラしているものや苦みのある野菜です。
子どもの今後を見据えて
野菜でも子どもたちが好きな野菜で、好きな調味料、好む硬さにすることで子どもたちは喜んでたくさん食べてくれます。たくさん食べてくれますが、そうすると必然的に同じような内容の献立になってしまうのです。食べてくれることは良いのですが、食べることのできる範囲が狭いままではいけないのです。
給食の中には、あえて子供が嫌いな食材を入れることもありますし、「酢のもの」のように酸味がある副菜なども積極的に出しています。
幼い子だから…甘くしないと野菜が食べられないから…なんて言ってはいられないのです。たとえ保育園の間はそれでも良かったとして、小学校に上がった時に新しい食材や調理法に戸惑ってしまう子にはなってほしくない思いがあるのです。
何でも食べることのできる、食事に不自由しない子に育てていくことが私たちの仕事なのです。
栄養士さんの献立はもちろん、給食を一緒に食べる中での声掛けも大切にしています。ちょっとした調理法の工夫で子どもに嫌われている食材が食べやすく調理することもできます。ここら辺は、私たちも日々勉強です。
食育活動も大きな成果があります
実は食育活動で「野菜を作る」ことはものすごく大きな成果があります。2020年度は年中・年長クラスでは4種類の夏野菜を育てていました。
おくら・ピーマン・トマト・キュウリ
中でも、おくらとピーマン は緑が強く、決して好かれる野菜ではありません。ネバネバするし、苦いし…で、実際子どもたちが収穫やさいをどんな顔をして食べるのか…?とても興味がありました
結果、おくらとピーマンが大好きになった子が劇的に増えたのでした。給食の時間に、子どもたち自ら誇らしげに教えてくれました(^_^)
さいごに
嫌いなものや苦手なものをそのまま避けるのではなく、ちょっとずつでもチャレンジすることによって、舌や身体がその味に慣れていき、そして食に困らない子に成長していくのです。
私たち給食職員は、毎日の給食を通じて、そのお手伝いをしているのです。
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